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余市(よいち)は北海道・積丹半島の付け根、日本海を望む果樹の町。北海道のワイン用ぶどうの約半分をこの町が生産し、とりわけピノ・ノワールでは日本の最重要産地になっている。もともとリンゴやナシの果樹園が広がる土地だったが、1980年代にワイン用ぶどうの契約栽培が本格化し、2011年には道内初の「ワイン特区」に認定。ぶどう栽培に適した水はけの良い斜面と冷涼な気候が、繊細な赤と透明感のある白を育てる。
転機は2010年、ココ・ファーム・ワイナリーの農場長を務めた曽我貴彦氏が登(のぼり)地区に開いたドメーヌ・タカヒコだ。野生酵母・全房発酵で仕込む「ナナツモリ ピノ・ノワール」は世界のレストランで採用されるまでになり、その研修生たちが次々と余市で独立したことで、登の谷は小規模ドメーヌが軒を連ねる日本随一のワイン集積地になった。平川ワイナリーやキャメルファームなど醸造所を構える造り手に加え、老舗の栽培農家が各地のワイナリーへぶどうを供給しており、「余市」の名はラベルの産地表記としても信頼の印になっている。
ここで探すなら、まずピノ・ノワール。同じ町のピノでも、造り手ごとに旨味系・果実系と設計が異なり、飲み比べる価値がある。タカヒコのように抽選・割当販売が中心で市場に出にくい造り手もあるため、見つけたときに相場と在庫を確かめられることが重要になる。ツヴァイゲルトやケルナーなど余市らしい品種も、価格が手頃で個性がわかりやすい良い入口だ。