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レストランで飲むワインは、買って帰るより高い —— それは誰でも知っています。では、実際に何倍なのか。 WineShopperは、ワインリストを公開している全国の主要レストラン38店の提供価格と、 ワイン専門通販の販売価格を同一銘柄で突き合わせ、1,403本分の「倍率」を計測しました。 結果は倍率で中央値1.89倍、上乗せ額で中央値13,780円。ただし本当に面白いのはその先で、高いワインほど倍率は下がり、1割弱は「レストランで飲む方が安い」逆転が起きていました。
最も安い帯(通販〜3千円)のワインは、レストランでは中央値3.92倍。 そこから価格帯が上がるほど倍率は一貫して下がり、小売5万円を超えるクラスでは1.35倍。 レストランの値付けは「仕入の何倍」という一律の掛け算ではなく、安いワインで粗利率を確保し、高いワインは回転を優先して倍率を抑える構造になっている —— ワイン業界で経験的に語られてきたことが、突合データではっきり数字になりました。 つまり予算に余裕がある夜ほど、リストの上の方(高い側)を選ぶ「お得さ」は増します。
倍率が下がるカラクリは、倍率ではなく上乗せ「額」(リスト価格−通販価格)に直すと見えてきます。 全1,403本の上乗せ額は中央値13,780円。 帯別に見ると、通販5千円未満のデイリークラスで約6,962円 ——これが「1本あたりのサービス料(いわば抜栓料)」の実勢の下限です。 3千円のワインに7千円が乗れば3倍超に見え、5万円のワインに3万円が乗っても1.7倍以下に見える。 倍率の差の大部分は、この構造で説明できます。
ただし上乗せ額は完全な固定制ではなく、図2のとおり高い帯ほど増えます (〜3千円帯の6,897円 → 5万円超帯の31,900円)。 面白いのは「どの程度増えるか」で、上乗せ額の価格弾力性は0.52 —— ボトル価格と無関係な完全固定なら0、価格に比例した定率(=倍率一定)なら1になる指標で、ちょうど中間です。 感覚的に言えば「小売価格が10倍になると、上乗せ額は約3.3倍」。 レストランのワインの値付けは、おおよそ価格の平方根に比例して上乗せする—— 1本のサービスへの固定的な対価をベースに、高額ボトルの保管・仕入れリスク分がゆるやかに乗る構造です (上乗せ額がプラスの1,279本のlog-log回帰。帯別中央値ベースの推定でも0.45と大きく変わりません)。 なお5万円超の帯では下位4分の1の上乗せ額がマイナス、つまり通販で買うより安い。これが次の「逆転」の話です。
1,403本のうち122本(8.7%)は、通販の現在価格よりレストランのリスト価格の方が安い逆転状態でした。 代表例がこちらです(銘柄名から各ワインの詳細・現在の通販価格へ移動できます):
背景にあるのは仕入れ時期の違いです。レストラン(特に老舗)は蔵出しや正規輸入の段階で仕入れており、 その後に市場価格が高騰した銘柄では、リスト価格が現在の小売を下回ります。 有名シャンパーニュ、高騰したブルゴーニュやボルドーの格付けシャトーを「今の小売より安く、しかもグラスとサービス付きで」飲めるのは、 セラーを持つレストランならではの価値です。
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価格帯×突合種別のクロス集計、生産国別の倍率、匿名化した店舗別の分布まで含む集計データ(CSV・4ファイル)。記事の1,403本と同一のスナップショットです。
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レストラン・飲食店の方へ —— 自店のワインリストが上の分布のどこに位置するかの個別分析(匿名・結果は非公表)も承ります。contact@wineshopper.app までお気軽にどうぞ。